【俳句】2017年夏ぐらい~9月21日

こうなると全部知ってた木の葉散る
恋の歌避けて歩けば栗おこわ
あの頃の君を今恋う衣被
ふわふわの九月をずっと眠っている
木の実雨つぷつぷその下を走る
水馬森室長の居た後に
どこまでもクッキー伸びる夜長かな
此処に居て良いのですかと桔梗咲く
安らかにあらんや一人静汝は
終戦日思い出せない名の一つ
部屋 蜘蛛が未だ通っていない部分
秋晴や葬儀の列に鼻炎の人
認知症吾いつもの席にいつもの栗
記憶だけ綺麗に語り合う月夜
敬老の日の若人の歌必死
ゲーム曲流れ果無し十三夜
間を持たせるためにフォークで食う
鴨来るを覗く目どこの床屋にも
秋憂い言葉ぱっくりだくだくと
蝶数多解釈数多付き快晴
やたら欠伸のラジオ体操大人ばかり
口中に穴ぼこ数多秋渇き
秋暁や歯医者完璧なる匂
公園の大茸みな気味悪がる
黍団子重ければ腰痛からん
鵙の贄ありてエルフはベジタリアン
冷房の部屋ダンスして汗もかかず
捨てんとす麦酒缶よりアイスの棒
稲たわわに稔り黒色矮星
潮風の裸眼にて見る遠花火
太陽に黒点打上花火にも
夕刻やバーベキュー一瞬静か
私も少し筋肉付けたい裸の腕
尻へ行く汗と足首へ行く汗
干柿と吊る二本目の親不知
眠る女ゼリーの中の桃爛れ
急いでゆきいそいで帰る蝉時雨
ベアリングの音も残酷なる晩夏
溽暑なる柔軟剤の液白し
君が楽しいか全力で気にしながらゲームをした目が痛い
寂しいときは唐辛子を食べる
コンビニにアイスを買いに行ってきます
信じていたゼリーの縁で指を切る
ビー玉を出せる優しいラムネなり
車が無事へこむ瞬間を見た
夏休みの頭の上をヘリの音
蝉の死骸を今なら踏んでもいい
独りなので全部思い通り
生御霊より聞く弱い者の知恵
暑い雨の日の呉服屋閉まっている
空蝉や延々と米噛んでいる
卒業に調度良い苦しみの恋
新しい標的探す虫篝
鴫焼の昨日の残りまた残る