【短歌】2018年4月17日~5月21日

返事のない手紙を書いたペンの為にお墓を建てたみんな不幸だ
暗がりにトイレにたちてスリッパの左右違えて寝れなくなりぬ
心臓が速く打ったらきっと早く死期が来るから酒を飲んでる
うっかりと床に落としてほどけきる糸巻の如早く死にたい
消えたいなら薬か酒を飲んだ後ベートーベンを聞いて眠るよ
捨てられることなどまるで怖くないいつでも閉店できる心だ
ふん転がしと糞が互いの存在に気が付いたとき世界が終わる
砂漠には踊る陽気な民がいるだが人生はまだ続くのか
「好き」という目には見えない網棚に大事な荷物置くようなこと
たそかれを過ぎても夫は帰り来ず闇が落ちれば何も見えない
人生で君に出会えて悔いはないだからもういい何も起こるな
失恋の数多の記憶それが人を強く或いは弱くするのだ
只一つ覆された愛あらば凡ての愛が怖くなるのだ
作文は本当のこと詩は嘘を書いてもいいんだよおかあさん
安全な場所を例えば部屋を得たならば引きこもるのが自然だ
いつかきっとゾンビ災害起こるから部屋から出ない俺は勝ち組
わたくしはわたくしという存在が要らない誰かもらってください
乱雑に羽や嘴やら足を生やした鳥を指に吊ってた
「学校に行きたくない」が罪ならば拘束されたい病気になりたい
岩陰の潮に佇む蛸の如脱ぎ捨てられし夫のパジャマよ
気が振れて暴れ回って嫌われたら眠り続ける夢が叶うな
寝返りが打てて褥瘡ができないすごい機能を我は持ちたる
敢えて言えば実に笑える死に方を考えるため生まれたのです
役に立たぬ無職の我を生かしいる夫よ貴方も共犯者なり
しばらくのあいだ掃除をしていない部屋を見たまえ此が地獄だ
変なこと言ってしまったこと忘れる為に言うのだ変なことをな
独り居て淋しい人と居て疲れるどちらがいいかせめて選べよ
コンビニのおにぎり達の世界ではニートに買われた奴は負け組
嗚呼僕は何の役にも立てないと俺に食われたおにぎりが言う
近付いてすぐ消えて行く人達は死んだわけではないかもしれん