2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
真っ赤なカラスがかーかーと人の声で下手くそに鳴き、じたばたと暴れ回っている。 駅前のタイ語会話教室、学校のコたちはみんな行ってる。私はめんどくさくてサボってぶらぶらしてた。そしたら彫り師の営業につかまった。お店までついて行って、眠かったので…
首の傷がカサカサして痒い。夜中にコビトたちが木と間違えて切ったのだ。それで私は私のための同窓会へ行った。おばあちゃん、先生たち、ずっと会いたかった友達。私は私のこれまでを彼らに向かってしゃべりつづけた。彼らは肯いたり笑ったりコメントしたり…
一瞬の出来事。気がつけばすぐ横におしちさんがいる。私を追い越しざま、おしちさんは私に向かって呪いの言葉を吐く。おしちさんは速度を緩めず去っていく。一瞬の出来事。スリとかひったくりとか、自転車に乗った痴漢みたいな早業。 私はおしちさんを殺した…
「どうして僕はこんな目に遭うの?どうして僕は生まれたの?誰が僕を生んだの?どうして日々は続くの?」 スライムは苦しかった。人間たちは毎日枝を振り回して怖い顔でスライムを叩く。仲間は居ない。声も出ない。泣くこともできない。自分で自分を抱きしめ…
こんな愚痴を聞いたことがある。 「住んでいるマンションに精神疾患の人がいて廊下をうろうろしている。子どももいるし不安だ」 確かに不安だろう。その人が突然号泣したりするところを小さい子に見せたくないと私も思う。そして見せたくない最たるものは自…
入院した翌日の昼に退院となった。駆けつけた田舎の親も一旦ホテルへ帰り、連絡の溜まった携帯端末を見る。一つ一つ返信をしなければならない。カレンダーに書き込まれた予定の多さは未遂前と何も変わらない。 気を張って予定をこなしていたときも、据わった…
消防署はほとんど家の目の前だ。いつもサイレンが聞こえる。鳴っているという意識もない。 自分で呼ぶことがあるとは思わなかった。電話をかけて、切るか切らないうちに救急車のサイレンが鳴り、鳴ったと思ったら声がして扉が空いた。 三人の救急隊員は私に…
忙しかった。 キャパが狭い。パンクして倒れて、繰り返さないために様々なことをやめてきた。家を出れば、仕事を辞めれば苦しみは終わる、世話役を引き受けなければ倒れない。いつも終わらなかった。次の苦しみがやってきた。もう好きなことだけしていようと…
デリヘルを呼んだ。否、呼んだ覚えも無いが。 悲しみが来た。「デリバリーメンタルヘルス かなしみ♡」と書いた名刺をくれた。俺は言った。「チェンジ」 次に楽しさが来て、そいつと遊んだ。60分で楽しさは帰り静かになった。 次の日は怒りと無気力と焦燥と寂…