【小説】サークルペアダンス

「おかえりなさい」
「こんにちは。よろしくお願いします」
男が迎え、女が入ってきた。
「あ、あなたは鈴木さんといるところを見かけたことがあります」
「ああ、はす向かいの。あそこにいたのは先月だったかしら」
「良い方だったでしょ」
「ええ」
二人は夕食を摂り、談笑した。
「昨日行ったお隣さんも面白い方だったわ」
「でしょう。あいつとはたまにうちで飲むんです」
二人は眠り、朝食を摂り身支度をし、それぞれの仕事に出掛ける。
「ありがとうございました。楽しかったわ」
「こちらこそ。反対側のお隣さんにもよろしく」
「ええ。私の一つ後ろの女の子、友達なの。よろしくね」
夜が来ると女たちはまた一つ隣の家に帰る。ずっと同じ家にいると別れが来たとき悲しいからである。