2017-09-12から1日間の記事一覧

【小説】少女漫画アナザーサイド

転校初日から登校中の曲がり角で女にぶつかったんだ。同じ学校の制服着てたんだけど。思いきり転んでさ。ひどい目に遭った。一口かじったパンが落ちててさ、その女が口開けたら咀嚼中のパンが見えんの。で、教室で紹介されてたらそいつがいてさ。俺指差して…

【小説】対マモノ占い師の言葉

ブロックするほどじゃないけど、この人もういいわって思われてることってあるでしょ。あなたに絡んでほしくて書いてるわけじゃないんだけどなって。純粋に楽しんでいるのに、恋でもって近づいてくるなんて失礼だって。 心の中ですら言葉になんて決してしない…

【小説】楽になってほしいので

お父さんやお母さんはいつも忙しくてなかなかいっしょにあそべません。でもそれはぼくのせいかもしれません。ぼくのごはんやふくやぶんぼうぐを買うのにお金がいるのでお父さんはたくさんはたらかなければなりません。お母さんはぼくのぶんのせんたくやりょ…

【小説】交流を図る

虫歯を抜いた方がいいと烏が言っていた。なので、烏のところを訪ねて抜いてくださいと頼んだ。烏は、「え?今すぐ必ずってわけじゃなかったんだけど。まあいいや」と言った。私はまた勘違いしてしまったと思ったが、撤回するのも余計に気まずいので、抜いて…

【小説】ペン回しの思い出

小学校の頃の一時期、ペン回しにはまっていた。テレビか何かでペン回しの達人のようなお兄さんが出ていて、憧れてやりはじめたのだ。はじめは全く回せなかったが、練習して少しは回せるようになった。嬉しかった。当時仲の良かった友達にペン回しを見せた。…

【小説】異世界小説

異世界に転生した俺は、魔法、剣術、他のあらゆるスキルを失っていた。武器もアイテムも何も持っていない。とても焦った。このままではすぐにやられてしまう。転生後の俺の体は小さく、周りのものが大きく見えた。一人の者の手が俺の方に伸びてきた。やられ…

【小説】夫婦漫才ヒト&マモノ

「どうもー、ヒト&マモノですー」「よろしゅう」「わしがヒトで、こっちのマモノみたいな顔してるんが」「マモノですー、て、ほんまのマモノの顔や、これが」わははははは「私らもうコンビ組んで十年やけど、出会った頃のこと覚えてる?」「もちろん。今のわ…

【小説】目眩く回文詩歌の世界

全体が回文になっている曲を作り歌うシンガーソングライター、それが回文歌手である。そしてその回文歌手のトップに立つのがこの私、秦歌羽である。小さい頃から何事も上手くできず落ちこぼれと言われ、友達もできなかった。それが大学時代、恩師の教授の助…

【小説】ロボットであり個人であった

神はまた一人ぼっちになった。全てが元の状態に戻ったのある。 時間軸をi方向に遡る昔、創世以前。神はやはり一人ぼっちであった。神が自らの意識に敷居を設け分裂して、主体が増え個人が生じた。主体はこの星の人間という種に植え付けられた。準備として後…

【小説】買われたロボットだった

魂とか’私’とか中の人とかいうものは、確かにかつての私にはなかった。私が今こうして自発的に思考していると、少なくともそう思っている主体が存在する状態であるのは、まさしく科学の進歩のおかげである。古い時代の女性型愛玩用ロボットだった私は一人の…

【小説】ロボットを買う

ロボットが心を持つような時代はまだ想像がつかないが、今は見た目や動きとしては人間とほとんど変わらないロボットが普通に出回っている。時代の進歩というのはすごい。まだまだ値は張るが。女性型のロボットには前から興味があった。休日やることもないし…

【小説】知らない人

目が覚めると知らない人になっていた。しかもなんだかぱっとしないやつだった。長い邪魔っ気な真っ黒な髪。上下ともに妙に長い睫毛。視力があまり良くないのだろう、視界がぼやけていた。枕元に眼鏡があったのでかけた。黒縁。かわいくない。部屋も知らない…

【小説】エデンの園

エデンの園へようこそ。こちらのご利用は初めてでございますか。それではご説明いたしますね。こちらアミューズメントパーク「エデンの園」ではまず、入場するお客様の脳から不必要な文化的情報を削除させていただきます。いわゆる、リンゴ以前の状態に戻っ…