【短歌】2005年頃

散り散りに散って今にも消えそうな世界で命を乞う紙の鳥

滑稽なまでににじんだ血の色に貴重な時間ついやしている

憂き人の屈託のない笑顔見て幸せになる悪気なくとも

薄闇の向こうにいつか見た君にまた叫んではとどかない歌

ななめ上君が笑っていたのならきっと私は夢を見ている

やさしさがとかす心はふじりんご想いは消えず頬ぬらす雨

十二時をまわって思う君の声幻を追うただ冬の夜

一度だけあなたに会えた信号を次の青まで待ってみようか

遠い日にぽとりとおちたつばき如地に咲いている君想う心