【小説】半減期

永遠に一緒にいられると思っていたわけじゃない。

物も命も星さえも、いつかは消える。

でもその終わりが来るのが、今かと言われると、そんなことはまずないだろうと思う。次の瞬間かと考えても、それもないだろう。その次の瞬間かと考えても、それもないだろう、と。

しかしそうして全ての瞬間を否定していくなら、やはり僕は信じていたことになるのだ。永遠に一緒だと。

 

誰かが教えてくれた。僕たちは皆、近いうちに消えてしまう。

もしそれを聞かなければ、僕は無自覚に永遠を信じることをやめられないままで、君を失っていただろう。

だから、随分救われているのだ。それを聞いたことで。

君が消えてしまったとき僕は、やはり来たか、と静かに思えた。

 

今はもう僕は本当に永遠を信じてはいない。

今この瞬間にも終わりは来える。今来なくても次の瞬間。その次の瞬間。

だからもう言っておこう。

さよなら。