童顔の女困った顔ぼくは泣き顔土に擦りつけてる
洗濯の皺のばすよう手を叩きあまねく人を消してしまおう
捨てないで見放さないでお母さま僕は彼女の靴にすがった
あかねさすあの日の君はもういない同じ顔した抜殻がある
朽果てた首吊り死体その部屋に付けっぱなしのラジオ流れる
生活や埃と髭と鳥の糞かき分けながら布団這い出る
愛用の鞄と本と体詰め棺桶燃やし送り出したる
我に似て我より心美しきアカウントあり見れば死すべし
優しくて守ってくれる想像の存在呼んでみるおかあさん
想像の中にだけ居て絶対で優しいものを母と呼びけり
悪夢さえ虚無さえ懐かしい朝だ私この世の物質だった
扉越しゲームの中の戦争の爆音怒声避けて本読む
美しい飛込みののち銀色の土竜は世界の裏を泳ぎつ
ろくなことなかった私老いた君どちらも過去を思い出さない
大鍋を掻き回す魔女唱えたる呪文無限にケルト音楽
勇敢な人なる君はわが腹に自傷のような歯型を残す
あの頃の救えなかった友人と私自身に墓を建てたる
暖冬の大寒と言うミドルらは幸せそうな頬をしている
会える日の数が決まっているのなら会わずにずっととっておきたい
時間です貴方のいない日常に帰りたくない殺してください
嫌な子の自分が嫌になったから私あなたを嫌いになった
嬉しいと悲しくなるの嬉しいは偶にしかない特別だから
もし君が僕を嫌いになったならもう嫌われる怖さはないのに
会えぬのも会うのも辛い背中には冷たい汗がこびりついてる
君がそうして優しい言葉を吐く毎に私は私に裏切られるの
泣いた時びっくりしたり呆れたり嘲る奴らから逃げ続ける
お互いに楽しい振りをし続ける必要がある生なら終れ
苦しんでいる狂人の不気味さを言う人がいて幾らでもいて
狂人は苦しい時はバスに乗る泣いても皆無視してくれる
二の腕の温度直接もぎ取っていく冷房の真下で朽ちる
暑いのも寒いのもまた五月蝿いのも金が無ければ堪えるしかない
あの人にも誰にも会わず眠れたら起きることなく眠れたらいい
わたくしをわたくしだけが救い得る眠るふりして爪をたててる
難しい願いを持ったつもりは無いただ永遠に眠りたいだけ
信仰を忘れたように心身が私に戻り一人になった
不合理はゴツゴツしてる幽霊になって防御を完璧にする
甘えられる誰かを探しに行かないと知らないうちに首輪は朽ちて
いい子ねと自分に云って重く厚い世界を脱いで眠っていいよ
古の歌人も贈る恋歌の気障さに後で照れただろうか
逃げ出してパンデミックの地球からそして誰かと会話がしたい
人恋しく飢えて手を出す関係が毒と知りつつ食べ続けてる
お洒落するだけで疲れる装備すればHP減る刃のようだ
退屈は人を蝕む恍惚の父は冷蔵庫をまた開けて
足元に溜まった汗に溶けだした脳細胞に虫が群がる