【小説】おばけ

私にだけ見えるおばけがいます。
おばけは気持ちの悪い見た目で、ごはんのときなどに出てくると、気持ちが悪くなってごはんを吐き出してしまいます。
でもおばけは私にしか見えないので。みんなは私を変だと言います。ごはんを吐き出すと、怒られます。
夜ベッドに入ったときにおばけが出てくると、気持ちが悪くて眠ることができません。それで昼間に眠ってしまうこともあります。そうすると怒られます。おばけのことを言っても仕方がありません。みんなには見えないので、夜更かししていたのだろうと言われるだけです。
みんなは私を、勝手ばかりするうそつきの悪い子だと言いました。でもあるとき、そうではないと言う人がいました。その人は私のことを、心の病気であると言いました。その人は病院の先生で、私はその人の病院に通うことになりました。
私は病院で脳の中を写す機械で調べてもらったり、先生とお話したり、お薬をもらったりしました。
でも残念なことに、病院にもおばけが見える人はいませんでした。
お薬でぼうっとするので、私はおばけを見てもごはんを吐き出したり眠れなくなったりしなくなりました。それで、みんなはあまり私を怒らなくなりました。
でも私がそういうことをするのがおばけのせいなのだとわかった人はだれもいませんでした。