【小説】ニートの人生

人はすべからく働かなければならない。生まれてきた人間は必ず自分を養っていかねばならない。もしそれが出来なければ、生きる権利はない。いつ消されても、消えざるをえなくなっても文句は言えない。
そう、親がいつも言うとおり「働かないと生きていけない」のである。
自分はニートだが、それは十分承知している。自分が不良品、失敗作だということは。いつでも消える覚悟はあるつもりだ。しかし今はなぜかこうして運良く生きている。そういう運もあってよい。だからそれを敢えて突き放しはしない。この幸運を、それがなくなるまで享受しようと思っている。
 
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「あ、またニートになっちゃった。難しいわ、この育成ゲーム。次はいい子に育つかな」
彼の視界は不意に暗転し、意識はこの宇宙から消え失せた。